江戸で造られた江戸鉄瓶

東京の、江戸川区で造られている鉄瓶

江戸川区の海沿いは、その昔、藩邸が立ち並ぶ武家屋敷街でした。

いまでも木場公園には、当時の鋳物技術の結晶である、大砲が無造作に置かれています。


江戸川区の鋳物の歴史は、本当は400年前に始まっていました。


現在も鋳物の工房はありますが、鉄瓶を作っているのは江戸鉄瓶作家の横塚さんだけ。

その横塚さんのつくる江戸鉄瓶の1つがこの「まぁるい鉄瓶」です。


実はこの「江戸鉄瓶 丸」

あと2つを造ると、制作終了となってしまいます。

鉄瓶の制作が間に合わないため、最も手間のかかる鉄瓶を制作する余裕がなくなってしまったからです。


これはどこの工房も同じなのですが、残念です。

150の工程を経ないと本物の鉄瓶はできあがありません。

本物の鉄瓶であるかどうか、一発でわかるのがここ

注ぎ口の付け根部分。

内側から見ます。

この付け根部分に、ひっかかりがあると、水がたまってしまいます。するとそこから錆びてくるのです。

本物の鉄瓶を作る職人は、この注ぎ口の内側に全神経を集中します。

鉄瓶の取っ手を、弦、もしくは鉉と呼びます。

読みは「つる」です。

弦には2種類あります。

1つは鉄の棒を曲げ作る弦

これを「無垢弦(むくづる)」と言います。


もう一つは、鍛冶屋さんが、トンカン鉄を熱して打ち付けて、中が空洞のもの。

これを「袋弦(ふくろづる)」と言います。

鉄瓶の弦が、袋弦だと、お湯が沸騰してても、素手で持つことが出来るのです。

これは鍛冶仕事の成せる技。

この中が空洞の「袋弦」をつくれるのは、鍛冶屋の田中さんだけです。


つまり、日本中の鉄瓶の、袋弦は、この鍛冶屋の田中さんの腕にかかっているというわけです。


下の写真が、その「袋弦」の工程です。

詳しくは「鉄瓶の弦の造り方」を御覧ください。

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